暖簾(のれん)

 もちろん、お店の軒先や出入り口に吊した
布製の垂れ幕のことです。一般的に屋号や商
号、商標、取扱商品など染めこみ、お店の所
在を明らかにする看板としての機能を持ちま
す。また、暖簾が下がっているか下がってい
ないで、お客さまに営業中か否かを知らせる
サインの機能もあります。
 しかし、暖簾が持つ意味や機能はそれだけ
ではありません。もっともっと大切な意味合
いが隠されているのです。
 では、暖簾探究隊、「暖簾をくぐる」こと
にしましょう。

[暖簾の歴史]
 暖簾の発祥は奈良時代だといわれています。
日除け、塵や埃除けとして、店棚に布切れを掛けたことが事の始まりでした。当初は「のうれん」と呼ばれていました。
 平安時代になると、京都などの都市部には「定店」と呼ばれる商家が軒を並べるようになり、「のうれん」は店頭に屋号や商号、取扱商品などを染めて掲げられるようになります。時代が下るに連れ、商家は造作やデザインに工夫を加えたり、さらにインテリアとしての用途も加わり、日本独自の暖簾文化が発達していきます。
[暖簾の種類]
 暖簾の素材は綿が多いようです。年中掛けることになり、丈夫で洗濯も容易なこととコストの面からでした。最近は麻や化学繊維を用いることも多いようです。
 オーソドックスな暖簾の他に、敷居まで長く垂らした「長暖簾」や、飲食店などで用いられる縄を編み上げた「縄暖簾」や、数珠をのように玉を連ねた「玉暖簾」などがあります。
[暖簾は営業権]
 やがて暖簾は、商売そのものを言い表す言葉にも転用されていきます。店舗などの営業実績や信用の程度や顧客の範囲など、営業権や商売を総括する言葉となりました。
「暖簾が古い」「暖簾を守る」「暖簾を汚す」などと使われたり、「暖簾料」は老舗の権利金といった意味合いで使われます。また家族や奉公人が分店することを「暖簾分け」といいます。
 現行の商法でも、暖簾に財産的価値を認めており、売買取り引きの対象として規定しています。

[暖簾に腕押し]
 ことわざに「暖簾に腕押し」があります。
 いくら力を入れても手応えがなく、張り合いのないことのたとえとして、よく用いられます。
 暖簾に手応えがあっては困ります。
 道行く人が暖簾に誘われ、暖簾をかき分けてお店の中を覗く。気に入れば入店し、そうでなければ立ち去る。布切れ一枚の重さだからできる技といえます。

よく商売をされている方が、一日の商いを終え、暖簾を片付ける時の充足感がたまらないといいます。
 暖簾は単に、販売促進のツールではありません。商売そのものなのかもしれません。

幟(のぼり)
 
 幟旗(のぼりばた)の略称。細長い布旗の
二方に小輪を付けて、横木を付けた長い竿に
付けて立てます。
 起源は、神社の「神むかえ」といわれてい
ます。現在でも神社の祭日には、神社名を記
した幟旗が掲揚されています。
 中世以降は、武士の軍旗として大活躍しま
す。合戦の際、紛れがないようにと、各武家
が造作やデザインに工夫を施すようになりま
す。端午の節句の「こいのぼり」はこの風習
の名残りだといわれています。
 江戸時代以降は、芝居や相撲などの興行の
際に、幟旗が立ち並ぶようになります。現代
でも商店のセールの告知やイベントなどで大
いに活用されています。

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